世界で一番好きなもの。【短】
寒いけど、くっついている所はポカポカ暖かい。
花梨にも俺の体温は伝わってるかな?
冬の寒さにも負けない、俺の気持ち。
こんなにもドキドキしてどんどん体温が上がっていく。
どうやったら、この気持ちを伝えれるのか。
もどかしさに、俺はただ強く強く、小さな彼女を抱き締めるしかなかった。
「…ね、花梨。
俺の好きなもの…何か解る?」
そっと小さく囁けば、
『甘いもの?』
という見事な即答っぷり。
でも、残念。
ハズレです。
「…甘いのより、花梨が好き。」
そりゃもう、面倒くさがりな俺が走って追いかけちゃうくらいに。
どんなに甘い砂糖より、
俺の心をグチャグチャに掻き乱すんだ、お前は。
真っ赤になっている花梨の唇に、不意打ちで軽いキスを落とす。
刹那、広がる甘さに飲み込まれる。
『じゃ…ケーキも待ってることだし、帰りましょうか?』
唇を離した俺は、そう微笑むと優しく指を絡めた。
絶対に離さない、そんな想いを胸に秘めながら。