D U S H ! !



それから、歌詞を書きまくった。

メロディも考えた。

というより、自然に出てきたのだ。

なぜか泣きたくなって、リビングに居ちゃ親にも姉ちゃんにも「何事か」と大騒ぎされて恥ずかしいから、とっさに2階に上がり自分の部屋にこもった。



殴り書きだった。


素直に書いた。

好きだった。

なのに彼女は彼氏がいた。

しかも俺の憧れ的人物のシュートだった。

そりゃ負けるわな、そう思った。

さらには彼から、彼女のことは詳しく聞かされていた。

付き合った当初のことや、初キス。それ以上のことも。

仲良くていいな、なんて思いながら幸せそうに話すシュートを応援していた。

ま、俺が応援なんてしてもしなくても、別になんにも変わらないんだけれど。


ていうか俺は馬鹿だ。

「奈津子ちゃん」という時点で気付け。

彼氏確認ぐらいしとけ。

いや、それはこれからしようと思っていたんだったっけ。




…恥ずかしい失恋曲が完成した。




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