D U S H ! !
「すいません、『DUSH』じゃなくて『DASH』なんですけど」
今日のライブのスケジュール表。
『little toys』『男爵芋』『Painted Roman』その後には『DUSH』の文字。
ダッシュとは読めるが、つづりが違う。
「ライブ出演申込書にはDUSHと書かれてるんだけど…」
スタッフさんは、この前に出したDASHのライブ出演申込用紙を見せてくれた。
「本当だ。なんでAがUになってるんだよ」
「どう見てもUだね…」
カイジもハラくんも俺も鮎川も、文句を言われたスタッフさんも困っている。
だが、よく考えると、このライブ出演申込用紙を書いたのは、そう、鮎川ただ一人。
『オレが書いて渡しに行っておくよ』
ユカに会いたいがために、申込用紙を奪い、届けたのは奴だ。
「鮎川、なんでDUSHなんだ」
「ダッシュって走るダッシュでしょ?そのつづりはDUSHで合ってるんじゃないの」
俺はため息をついた。
もう、そんなこと言うんだろうなと思ってた。
「すいません、Uは間違いなんです。どうにかAにしてくれませんか」
スタッフさんに頼んでみるが、言われてしまった。
「スケジュール表は書き直すことは出来ても、チケットにも多分『DUSH』って書かれてると思うよ。フライヤーにもね」