D U S H ! !




「すいません、『DUSH』じゃなくて『DASH』なんですけど」


今日のライブのスケジュール表。


『little toys』『男爵芋』『Painted Roman』その後には『DUSH』の文字。

ダッシュとは読めるが、つづりが違う。


「ライブ出演申込書にはDUSHと書かれてるんだけど…」

スタッフさんは、この前に出したDASHのライブ出演申込用紙を見せてくれた。


「本当だ。なんでAがUになってるんだよ」

「どう見てもUだね…」


カイジもハラくんも俺も鮎川も、文句を言われたスタッフさんも困っている。

だが、よく考えると、このライブ出演申込用紙を書いたのは、そう、鮎川ただ一人。

『オレが書いて渡しに行っておくよ』


ユカに会いたいがために、申込用紙を奪い、届けたのは奴だ。



「鮎川、なんでDUSHなんだ」

「ダッシュって走るダッシュでしょ?そのつづりはDUSHで合ってるんじゃないの」


俺はため息をついた。
もう、そんなこと言うんだろうなと思ってた。



「すいません、Uは間違いなんです。どうにかAにしてくれませんか」

スタッフさんに頼んでみるが、言われてしまった。



「スケジュール表は書き直すことは出来ても、チケットにも多分『DUSH』って書かれてると思うよ。フライヤーにもね」




< 178 / 346 >

この作品をシェア

pagetop