D U S H ! !
ドラムのシンバルの小さな音に乗せて、鮎川のギターソロが始まる。
哀しくて、切なくて、
だけど、前に進みたくて。
そんなもどかしい想いを、くしゃくしゃに丸めるんじゃなくて。
ひとつひとつ、音に乗せたくって。
何故だろう、お客さんがざわついた。
俺を指差す。
もしかして、鮎川が変なことしたのかな。
ま、そういう奴だしいいか。
眩しいステージのライト、汗で前が見えなくなる。
遠くを見て『届かない』、と歌っていたら、ユカを思い出した。