D U S H ! !



「まー、兄貴が言うには?バンドって個性だし人それぞれだから、何やってもいい。ただ、真面目に馬鹿やれだってよ」


真面目に馬鹿?


「そ。やる気のねー奴らはバンド組む資格はないんだと。馬鹿みたいにテキトーにやってそうな奴らでも、根は目標をもって『やってやる!』って思ってんだ。」


やる気、目標…



「俺、やる気ないんだけど。」

「はっ?入ってくれる気になったんじゃねえのかよ!」

カイジは俺ではなく鮎川を睨んだ。


「なんていうか…」



そうだ。

まだ、実感がわかないんだ。


「正直、バンドって何やるのかわかんねー。歌って、演奏して、…それは人前でやるんだよな?んで…目標ってなに?」


「そうだ。このバンドの目標って何だろ。決めてなかった」

「目標ねえ…。ライブする!」

「それすぐ叶うよ、多分」

「じゃあ、メジャーデビュー!」

「いきなりハードになったなあ」

「じゃあ何がいいんだよ。」


ライブする。

メジャーデビュー。

彼女作る。

結婚する。

子供出来る。

BMWやベンツに乗っちゃう生活をする。



そんなことを言い合っていたら、とっくにライブが始まっていた。
俺たちは走ってホールに向かう。



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