D U S H ! !
「…あ。まさかお前ら付き合ってんのか!それは悪いことしたな~。ごめんね、何ちゃんだっけ。あ、名前は聞いてないか」
名前も知らない少女にキス…
『ロリコン野郎』と叫んでやりたかったが、言葉が達者そうな大王を見ると、何も言えなかった。
「じゃあ、彼女も高校生?嘘、どっかの専門学校生かと思ってたのに」
それから、酔っぱらっていたせいなのか、大王は一人でペラペラと喋っていた。
仲間の一人が、『先に行っとくわ』と言うと、『ああ。すぐ行く』と言った。
まだこんなほぼ初対面に何か話し足りないことでもあるのだろうか。
いい加減家に帰りたかったが、ユカが跡をつけられては困るので、ずっとこの場所にいた。
「名前だけでもいいから教えてよ、ね?」
この場所でナンパかよ。
呆れた俺は、「嫌がってるんで。」と言ってどこかへ逃げようとした。
けどさすが大王。
「教えてもらえるまで帰らない、ついてく」とまで言うのだ。
どこまでタチが悪いんだい。
仕方なく、ユカが「ハナコ」と言うと、馬鹿な大王は「ハナコちゃんかあ。またね、ハナコちゃん☆」と居もしない少女に別れを告げた。