D U S H ! !



「へえ。じゃ、これもレコーディングするの?」

広げたノートのページは『スキン』と書かれていた。


「…一応は。ていうかユカ、明日ライブなんだっけ」

「うん。外バンのね。ギターの未来ちゃんが『鮎川くんに会いたい』って言ってたから、絶対皆連れてきてね」

「おう。皆行くよな」

鮎川の瞳がキラリと光り、『勿論』という3人の声が聞こえた。


「じゃあ。アタシはまだバイトあるから。テキトーに語ったらすぐ帰ってよね、邪魔だから」

「はいはい分かってます分かってます」

「何その返事!ばーか」

「ばーか(笑)」


そう言うと彼女は受付に戻ってしまった。
ははは、なんだか今日は機嫌が悪いのか、面白いな。


すると。


「なに、ヤマトくん、やっぱりユカちゃんと付き合い出したの?」

「は?」

ハラくんはさっきコンビニで買ったお弁当をほおばる。

弁当がおやつ?

「ああ、確かに。なんか今の会話夫婦みたいだったもんな」

「何、カイジまで。どうかしてるぞ?」

「どうかしてるのはヤマトだって。ユカちゃんに馴れてない?」


ユカに馴れる?


「さすが馬鹿だな。『ユカちゃんとのこの距離感に満足してない?』って意味だよ!!」

そんなに鮎川に怒られる筋合いはないと思うけど。





“馴れてる”か。



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