D U S H ! !
DISK7 明日に駆け出す
「2次審査合格だって!再来週が3次審査。そろそろレコーディングしてCD作らないか?もし3次受かったらフェス会場で売れるような」
12月を過ぎた頃。
マフラー巻いてやってきたDASHEDfc-で、鮎川は言った。
「本当に?!20組に残ったんだ、俺達」
信じられなかった。
1次審査はデモテープ、2次審査は実際に東京まで行って、歌ってきた。
1次審査、2次審査共かなり下手くそな演奏をしてしまったと思っていたのに。
ついに、3次審査では、この企画を作った会社が経営しているライブハウスで、実際の『模擬ライブ』をすることになっている。
当日の“広告”も兼ねて、ライブは無料。
学生なら、誰でも、何人でも来て騒いで良い。
「3次ではさ、何歌うつもりなの?」
話を聞きつけたユカが言った。
「…。どうしようかな。まだ、決めてねーんだけど」
「そだ、あれ歌ってよ、あれ!」
「あれってどれだよ」
「何いちゃついてんだよ。その姿を見るこっちの身にもなってみろ」
いちゃついてるつもりはないんだけど…
そう、俺とユカは、あれから付き合うことになった。