D U S H ! !



教室に着いて、担任がやってくるのを待っていた。

俺達はさっきの話の続きをしていた。


「じゃあお前、今日会う約束もしてなかったり?」


当たり前じゃん


そう言うとシュートに頭を殴られた。


「だって、ユカの方からはメールも電話も来ないし。クリスマスだって友達と遊ぶかもよ?」

「馬鹿か。ヤマトって忙しい訳だろ、オレでも見てたら『疲れてそうだから話し掛けるの止めておこうかな』とか思う訳。彼女なら尚更相手に気を使うって。」

「…ていうかシュート、そんなこと思ってたんだ」


俺って、そんなに疲れてそう?


鮎川も、俺の昼飯だったパンを食らうと言った。

「…。バイト何時間やってんだよ。楽器なんて貯めて買えばいいじゃん」


楽器なんて?

今、そう言った?


「…お前にはわかんねーよ。お前は金持ちだからバイトもしねーで20万もするアンプ買えんだからな。」

イラついて、鮎川の顔を睨む。

「ちょっとヤマト。鮎川はそんな意味で言ったんじゃ」

シュートが間に入ろうとしてたけど、この時の俺には邪魔者以外の何者でもなかった。


「…だけど俺は違う。姉ちゃんが赤ちゃんを産む為の費用は馬鹿にならないから、お前が食らったそのちっさな“80円”のパンも俺がバイトした金なんだよ!!」


レコーディングしてCD制作する金だって、ギターアンプだって、マイクだって、自分で働いた金なんだ。

鮎川みたいな奴にそんなことを言われる筋合いあるのかよ。


「もういい」


俺は教室を出た。



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