D U S H ! !




梅が咲いた。


家の前の桜の木には、蕾が付いていた。


だけど、バケツの水は冷たい。



俺の姪っ子の名前は、『真雪』だけれど、


さっき夕方のテレビで見た生後0日の赤ちゃんの名前は『春樹』だった。



そんな時期がやって来て、俺は最後に、ユカに楽譜を渡した。

明日は朝からリハーサルがあるから、今日は東京に4人で泊ることになっている。


「…明日は、頑張って来る。ユカも、応援してて。」

「うん、今から緊張してちゃダメだよ、応援するから頑張って、ね!」

「ありがと。…だから気持ちとしてさ、これ、明日は歌えないけど、あげる。いつかデビューしたら、これ、最初に歌う。」

ユカへの感謝の歌。

ユカは、これを聴いたらなんて言ってくれるかな。


「…そうなんだ。皆で決めたの?」

「いや、俺の独断と偏見。でも皆には「良い」って言わせるぐらいの歌だから。だから、持ってて」


そう言って、俺はギターとカバンを背負って駅へ向かった。

明日は、決勝だ。





「…ラブソングじゃん。」



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