イケメン君と美人チャン。




次にあたしのパンチが彼方の急所をつく。


「…………~んだ…コレ…。」


「身体が麻痺して動かないでしょ。しばらく静かにしてな。」




動けない彼方の隣に座って。もう一度精神統一をした。


落ち着け~…!。



あたしってば。素人相手に何してんの!


いくら彼方が強くても。ちょっとやり過ぎた……?。




「くっ……そ…。」

「…………。」


「くそっ……。くそ!!」




彼方は悔しそうに俯いてる。


…ホントやり過ぎた……。




ばっかみたいじゃん。あたし。


子供みたいにムキになって…こんな状態になるまで本気出して……。



「…………っごめん。」




「……え。」


「……ごめん…なさい……。」




彼方を嫌な気分にさせちゃった。



普通なら。ここで男が勝たなきゃいけないのに。


彼氏にカッコイイとこ作ってあげるべきなのに…




「由衣。」


「…………。」


「泣け」


「…………。」


「昨日言ったこと。もう忘れたのか?」

そう言って頭を撫でてくる彼方の手は。動くはずないのに…


「…………ぅう。」

「もっと迷惑かけていいから。」


「…………ぅん。」

「辛いんなら。泣いて良いから」


「…………う゛ん。」


「…おいで?」



「…………かなたっ!。」




あたしは両手を広げる彼方の胸に飛び込んだ。




麻痺してるのに


動けないはずなのに。




何で無理矢理動かしてんの…



何で。震えながらもあたしを。こんなに強く抱き締めてくれんの…





凄い嬉しいよ~…!。





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