桜花散恋
襖の隙間から差し込む光に目を細め、ゆっくりと体を起こした。
一晩中、寝ては覚め、寝ては覚めのくりかえしで、まだ体はだるかった。
昨晩、いきなり目の前で人が死に、わけもわからぬままたどり着いた場所で、ぐっすり眠れというほうが無理である。
「・・・・」
まだ眠っている頭を必死に起こす。
昨日何が起こったのか、細かく思い出していく。
ここは、新選組の屯所。
・・・新選組?
じゃあ、私は・・・
タイムトリップ、しちゃったの?
「おい、起きたか?」
「は、はい・・・!」
私が起きた気配に感づいたのか、昨日の・・土方さんが襖越しにそう聞いてきた。
「開けるぞ」
「ど、どうぞ・・?」
襖が開く。
暗闇だったことと、混乱していたこともあり、私はそのとき初めてまともに土方さんの顔を見た。