桜花散恋



「連れてきたぞ」


土方さんの声に沖田さんが襖を開けると、中にいた人たちの視線が私に一気に集まったのがわかった。


「・・・・」


「大丈夫。僕もいるから安心して?」


「はっ・・・はい」




私がおもわず俯いてしまうと、沖田さんがこそっと話しかけてくれる。



土方さんにとりあえず座れと促され、沖田さんの横に座る。


「総司の横にいるそいつは、昨日俺と総司が辻斬りの現場にいったとき、近くにいた」




土方さんがそう言葉を切ると、私のほうに視線を送ってくる。


「あ・・・古雅葉月です」


ぺこっと頭を下げて、顔を上げると、幹部隊士の人の中の赤い髪の人と目があった。


急なことでぼーっとしていると、にこっと笑いかけてくれる。これまた美形の人だ。


「で、早速本題なんだが、なんであんなところにいたんだ?」


「えっと・・・」


なんていえば信じてもらえるのか、頭の中で必死に模索する。「未来から来ました」、なんて・・・頭のいかれたやつだとか思われてもおかしくない。


「・・・おい」


「は、はい!」



俯いて考えている私に土方さんが声をかける。


「お前のことを別に疑ってるわけじゃねえんだよ、こっちは。お前がわかること全部を素直に話せばいい」

「・・・はい」


まっすぐ、私を見て言ってくれたその言葉に、やっと決心して昨日あの場所にいた経緯を話した。






< 15 / 84 >

この作品をシェア

pagetop