桜花散恋
「連れてきたぞ」
土方さんの声に沖田さんが襖を開けると、中にいた人たちの視線が私に一気に集まったのがわかった。
「・・・・」
「大丈夫。僕もいるから安心して?」
「はっ・・・はい」
私がおもわず俯いてしまうと、沖田さんがこそっと話しかけてくれる。
土方さんにとりあえず座れと促され、沖田さんの横に座る。
「総司の横にいるそいつは、昨日俺と総司が辻斬りの現場にいったとき、近くにいた」
土方さんがそう言葉を切ると、私のほうに視線を送ってくる。
「あ・・・古雅葉月です」
ぺこっと頭を下げて、顔を上げると、幹部隊士の人の中の赤い髪の人と目があった。
急なことでぼーっとしていると、にこっと笑いかけてくれる。これまた美形の人だ。
「で、早速本題なんだが、なんであんなところにいたんだ?」
「えっと・・・」
なんていえば信じてもらえるのか、頭の中で必死に模索する。「未来から来ました」、なんて・・・頭のいかれたやつだとか思われてもおかしくない。
「・・・おい」
「は、はい!」
俯いて考えている私に土方さんが声をかける。
「お前のことを別に疑ってるわけじゃねえんだよ、こっちは。お前がわかること全部を素直に話せばいい」
「・・・はい」
まっすぐ、私を見て言ってくれたその言葉に、やっと決心して昨日あの場所にいた経緯を話した。