桜花散恋
巡り逢い
時は幕末。
京の都はいつもと変わらず、幕府側と攘夷派の対立で緊張しきっていた。
まだ肌寒い4月の晩。
「土方さん、疲れてません?もう歳だから少し歩いただけでも体に障るでしょ?」
「無駄口叩いてねえでさっさと歩け!てめえに心配されるほど歳くってねえよ」
そんな街中を浅黄色の隊服を着た男が二人、歩いていた。
「しっかし、何が嫌で土方さんと街中を歩かなきゃいけないんですか?ただでさえ新選組は恐れられてるっていうのに・・・・
隣に“鬼”がいたんじゃみんな逃げちゃうじゃないですか」
そうぼやくのは――・・・
新選組一番組組長、沖田総司。
「総司っ!!・・・てめえ・・・・」
その隣にいる男は――・・・
新選組副長、土方歳三。