桜花散恋
嫌われていることは、自分でもわかっていた。だけど、こうして面とむかって言われると、正直きつい。
「もってきたぜ」
「これでいいんだよな?」
はっとして後ろを向くと原田さんと永倉さんが立っていた。
「あ・・・ありがとうございます」
桶と包帯と手拭いを受け取って何も言わず手を動かす。「手際がいいなー」と永倉さんの声がした。
「・・・できました。しばらくは走り回ったりしないでくださいね?」
「・・・・」
「おい、平助?」
「俺、部屋で休んでっから」
「どうしたんだ?あいつ」
結局、藤堂さんはあの言葉以降、私に声をかけなかった。
別に感謝されたいたいとか、お礼の言葉が聞きたかったとか、そういうんじゃなくて。ただ普通に話ができたらよかったのに――・・・
『・・・俺は、お前がここにいることを認めたわけじゃねーからな』
何も上手い言葉なんて、浮かばなくて。
ただ下を向いて、手当てをする事しかできなかった。