桜花散恋

某日〜その壱〜



「男所帯である屯所に、女の存在はいろんな意味で脅威である」


とは山南さんの言葉。



元々、屯所内にいる女の人といえば、八木さんの奥さんや娘さん、八木邸に出入りしている女中さんや数少ない女商人などくらいで、もちろん、隊士の恋人でも入れない。


だから私は、事情を知っている幹部以外の平隊士とはあわり関わらないようにと言われていた。


屯所内をうろつくことも、仕事以外は控えるようにとのことだった。



ぱっと見たところ、平隊士には私と同じ年の人が多い。
幹部の人たちが、年上ばかりで少し辛い時、彼らがいたら・・・と思うことがあった。


屯所においてもらえるだけでも十分ありがたいから、何も言えずにいるけど――・・・


そのことを八木さんの娘である、梅さんにぼやいたことがあった。

すると、梅さんは苦笑して、


「何か間違いがあってからじゃ遅いからねー」



と、言っただけだった。








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