桜花散恋
「・・・で、君が副長が言ってた子?」
しばらくの沈黙のあと、隊士さんが尋ねてきた。
「多分、そうだと思います」
初めて話す人だということに加えて、藤堂さんと仲が良いように見えた人。
もしかしたら、この人にまで避けられてしまうのではないか、という不安が心に広がる
別に仲良くしたいとか、そこまでは望んでいない。
ただ―――・・・
存在を認めてほしかった。
でも未来からやってきたわたしには、そう思うことすら我が儘なってしまうのだろうか?
そう思って下を向いていると、「そっか!」という明るい彼の声が聞こえて、手を掴まれた。
「っ!?」
「俺、幸親(ゆきちか)!十番組所属」
握手しようとしていることに気づいたのは二秒後。
その行動にぱっと顔を上げると、笑顔の彼がいた。