桜花散恋
「君の名前は?」
「っ・・・」
「え?!俺、何かひどいこと言った?!」
彼の・・・幸親君の笑顔に、一気に気が緩んだ。目の前にいる彼の顔が歪んで見えた。
気がついたら涙がこぼれていた。
怖かった。
避けられるのが、
拒絶されるのが、
怖かった。
藤堂さんから「認めてない」と言われた。
舌打ちもされた。
土方さんや幹部の人たちも、口にこそ出さないけれど、本当はどう思っているのかわからなくて。信じられなくて。
幸親君のように事情を知らない隊士の人は、私の存在をどう思うのだろうか?
いきなりやってきた人間を受け入れることが、容易ではないことや、受け入れ難いことは当然だと思う。
でも、訳もわからぬうちに未知の世界にやってきた私は、その事実に耐えるだけね心の余裕なんて持ち合わせてなかった。
だから、幸親君の差し出してくれた手が、言葉が暖かくて・・・・