桜花散恋
某日〜その弐〜
幸親くんと原田さんは道場へ。
原田さんが道場へと誘ってくれたけど、さすがに迷惑になったら悪いから断った。
することもなく部屋に帰ろうとして歩いていると斎藤さんの三番組が巡察を終えて帰ってきたところだった。
「斎藤さん、お疲れ様です」
「・・・あぁ」
斎藤さんは少し目を瞬いたあとすぐいつもの表情に戻り短く返事をしてくれた。
「隊服洗いますよ?」と言うと、斎藤さんは「助かる」と言って、三番組を見渡した。
「真之介」
「はい!」
斎藤さんの声に元気な、まだ幼い声をした返事が返ってきた。
「葉月だけでは隊服は持ちきれないだろう。お前が手伝ってやれ」
「わかりました!」
身長は私と変わらない、だけど年齢的には私より下かな?幼い顔つきの男の子が三番組の列の中から顔を出した。
「斎藤さん・・・私一人でも大丈夫ですよ?」
「二人いたほうが能率がいい」
「・・・は、はい」
隊務が終わって隊士さんたちの手を煩わせるわけにはいかないと思い発した言葉は、斎藤さんの理論的な意見にばっさりと切り捨てられてしまった。