桜花散恋
某日〜その参〜
「葉月ちゃん、もう上がっていいわよ」
「はい!お疲れ様でした!!」
夕餉の片付けを済ませ、お梅さんと一緒に台所を出る。
「・・・・」
「お梅さん?どうかしました?」
「葉月ちゃん、今日何か良いことでもあった?」
「え?」
お梅さんが私の顔をまじまじと見て聞いてきた。
「すごく嬉しそうにしてるから」
「そ、そうですか?」
「うん、ここに来て今までで一番明るい顔よ?」
「・・・・」
気づかなかった。
自分が明るい顔をしてるなんて。
でもそう言われてみて、その理由が思い当たらないわけではなかった。
『俺、幸親!十番組所属!』
『俺も悪いことしちゃったし。おあいこだよ』
「今日、―――――・・・」
私はお梅さんに今日あった出来事を話した。話している私の声は、自分でも驚くぐらいはずんでいるのがわかった。
「へぇー・・だからいつもより元気そうだったんだ」
「はい。二人ともすごく優しくて・・・・お梅さん?」
お梅さんの表情がとても柔らかくて首をかしげる。