桜花散恋
迷夢
屯所に来て、何もすることがなく、時間ばかりを持て余していた。
たまに隊士の人たちが私から未来の話を聞きたいと言って話し掛けてくれる。
けれど、隊士の人たちは私と違って暇じゃない。
巡察や隊務、剣術の稽古だってあるから、ほんのわずかな時間しか話していられない。
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「仕事がないだと?」
「はい」
さんざん迷った末に私は土方さんの部屋にやってきた。
何か少しでもできることがあれば――・・と思った。
いくら私が新撰組の客人として扱われているからといっても、いつ帰れるかわからず長いこと居続けて、何もせずにいることは躊躇われた。
だから毎日洗濯やご飯の支度は手伝っていた。
今日は何故か早くその仕事が終わり、暇をもてあましていた。
「お前は何もしなくていい。暇なら外に出るか?」
「・・・ただ飯食いは私としても気が引けるんです!」
何もしなくていいとしか言わない土方さんと、仕事はないのかと尋ね続ける私。
「どんな小さなことでもいいですから・・・!!」
「・・・・」
何度も頼み込んでいるうちに、土方さんは顔をしかめて考えるように黙ってしまった。