桜花散恋
「あ・・あの」
少ししつこかったかな、と反省して土方さんの顔色を伺う。
いつも通り、端正な顔の眉間にしわが刻まれている。
「・・・何でもいいんだな?」
「はっ・・はい!!」
しぶしぶといった様子で土方さんがやっと口を開いた。
「・・・山南さんのところに茶を持っていけ」
「・・・・え?」
「今、何でもやるっていったじゃねぇか」
「いっいえ・・・そんなことでいいんですか?」
私は拍子抜けしてすぐ返事ができなかった。
土方さんは苦い顔をしたまま続けた。
「最近な、山南さんの様子がおかしんだ。何か隠してやがる」
「山南さんが・・?」
ときどき私も山南さんと話したりするけど、そのときは気づかなかった。
山南さんはとても頭の良い人だ。
気も効くし、優しい。
屯所に来て、あまり長い時間が経っていない私には、山南さんのおかしなところなんて一つも見えなかった。