桜花散恋
「あの人は頭が良いから何でも自分で考え込んじまう。・・・・それを見てるだけのこっちの気持ちも考えて欲しいもんだよ」
きっと、山南さんと土方さんは一緒にいる時間が長いぶん、お互いのことが手にとるようにわかってしまうんだろう。
・・・・だからこそ言えないことも多いんだと思う。
「てめぇはつい最近来たばっかりだ。山南さんの話し相手にでもなってやれ」
「わ・・私でいいんですか?」
「別に何か聞き出せって言ってんじゃねぇ。一緒に茶でも飲んで、世間話でもしとけ」
これも持っていけ、と土方さんが渡してくれたのは茶菓子だった。
「・・・・いってきます!」
「あぁ」
私に何ができるかわからないけど、少しでも役に立てれば―――・・・
そう思いながら台所でお茶を入れて、山南さんの部屋に向かった。