桜花散恋
―――・・それが辛いと、苦しそうにしていた土方さん。
「(・・・少しでも役に立とうって決めたんだもん・・・・)」
山南さんのためにも。
土方さんのためにも。
今、私ができることは・・・
「まだ何かあるのですか?用がないならさっさと・・「あの!私も一緒にお茶を飲めって言われたんです!!」
山南さんの言葉をさえぎるように勢いに任せて続ける。
「おっ・・・おいしそうなお菓子をもらった・・!食べたいなぁって、・・・土方さんに言ったんです。そしたら・・山南さんと一緒に食べてこいって・・・!!」
ずいっ、と山南さんの前に盆を差し出す。
山南さんは迷惑そうな顔をして私とお盆の上の菓子を交互に見る。
不機嫌な表情、目に、思わず視線をそらしそうになるけど、負けるものかと、私も視線を強くする。
だけど数分間それが続くと・・・
「・・・・・」
「(・・・もう無理!!)」
もういよいよ堪えるにも堪えきれなくなって、泣きたくなってきた。
一方、山南さんの表情は1mmの変化も見られない。
微動だにしない、という表現がぴったりだった。
「さんな・・「負けましたよ」
「・・え?」
私が諦めようとしたとき。
山南さんの鋭い視線がゆるみ、柔らかなものへと変化した。
「土方君も、余計な気をまわすものだ」
山南さんは目を見開いている私に優しく微笑みかけてくれた。
「じゃっ・・じゃあ・・飲んで、くれるんですか」
山南さんは、つい大きな声を出してしまった私を苦笑しながら縁側に座るよう促した。