桜花散恋
「土方さ―――・・・・あれ?」
土方が何も言わなかったことを不思議に思った沖田が土方の後ろから顔を出す。
沖田の声にふと我に返った土方は少女に向けていた刀をしまった。
「・・・おい」
「っ・・・・!」
少女は俯いたまま膝を抱え、カタカタと震えていた。土方が声をかけるも、返事はない。
冷静に少女を観察すると、少女の格好が見たこともないものだということに気がついた。
沖田はそんな少女を興味津々といった様子で眺めていた。
「・・・大丈夫か?」
尋ねてみても、やはり返事はなく、話が進まない。
「(・・・・・もしかして怪我してんのか?)」
そう思った土方はぱっと少女の腕を掴んだ。
「きゃっ・・!」
「!!」
土方に腕をつかまれた勢いで少女は土方に吊り上げられた状態になり、少女の顔があらわになる。
涙で潤んだ大きな瞳。
暗闇でつややかに光る長い黒髪。
思わず、目を奪われた。