桜花散恋
「ここだ」
なんとなく気まずい雰囲気のまま、黙々と並んで歩き、目的の神社に着いた。
神社はそう人も多くなく、ちょうど良かった。
用意していた小銭を賽銭箱に入れて、ニ礼、柏手を打って、手を合わせた。
どうか、今年も安全に過ごせますように
どうか、隊の人たちが病気や怪我をしませんように
どうか、――――――…
「何か買うか?」
「あっ!お守り買ってきます」
参拝が終わった後、土方さんと一緒におみくじを引く。
私は中吉で、土方さんは吉だった。
えっと…恋愛運は、
『信頼や尊敬が恋情に変わる可能性大、自分の気持ちに正直に』
信頼や尊敬――…?
パッと頭にある人がよぎる。
いや!ないない…
そっと頭に浮かんだ隣の人物を見上げると、おみくじの内容が良くなかったか、眉間にしわを寄せて唸っていた。
まさか、ね――…
「お守りを2つと熊の手を一つください」
「はい、どうぞ」
受け取った2つのお守りの片方を土方さんに渡す。
「今日のお礼です」
「気にするな、気分展開にもなったしな」
そう言いながらも、「お前の気持ちは受け取っておく、ありがとう」と言ってくれた土方さんが優しく笑う。
土方さんがお守りを受け取ろうとしたその時、