桜花散恋
佳人と鬼副長
「本当なんだって!」
「えー?でもあの土方さんだよ?確かにあの人は遊郭じゃかなりの人気者だけど」
「違うんだよ!それが今回は普通の町娘で!」
「だから、それが信じられないんだってば」
ある日の晴れた朝。洗濯物を終えて台所へ戻ろうとしたら、廊下で沖田さんと幸親くんの話し声が聞こえた。
内容は、土方さんのこと。
「あっ、葉月!お疲れ!」
「幸親くん」
「あ、そうだ。君は知らない?土方さんが町娘に手を出したって話」
「おい総司、それ違うだろ」
「あはは。・・で?葉月ちゃんは何か知ってる?」
「・・・・多分、それ、凛さんのことです」
「「‘凛さん’?」」
凛さんと初めて会ったのは、あの初詣の日のことだ。