エリートな貴方との軌跡
温情ばかり掛けていれば頼りきりになるし、失敗が必ず今後にも必ず活きるから。
“敢えて一歩突き放す”というスタンスは、試作部ならではの特性かもしれない――…
「えーと…、常備薬にサプリメントと…」
結婚式と出張の準備に専念しろという、松岡さんの気遣いに甘えて定時退社となった。
修平のお母さまと司会等をお願いした友人たちとの電話を終えて、今度は出張準備だ。
海外生活をしていた事もあって、異国にはすぐに馴染める順応さは得しているけれど。
今までは全てが旅行だったし、まして初の海外出張がエリート揃いの本社となれば。
ほぼ詰め終えた2人分のバゲージだけれど、確認ばかりするのは不安の表れかな…?
「んー…、やっぱりほうじ茶も…」
さらにメモを片手にブツブツと呟くのは、きっと虚しい空間にしたくないせいだろう。
最近は多忙のあまり、出退勤どころか夕食すら共に出来ない寂しさを紛らわしてる…?
打ち消すようにフルフルと頭を振れば、突如ピンポーンとチャイムの音が木霊して。
「はーい…?」
エントランスからの呼び出しでは無かったので、慌てて玄関へと小走りに向かうと。
まだ夕暮れ時という時間帯から、私は一旦小さなドアスコープへと顔を近づければ。
「・・・え!?」
その扉の先に捉えた人物に目を丸くしつつも、慌ててチェーンロックを外してから。
防犯性バッチリの内鍵をガチャリと開錠し、隔てていたドアを開け放ってしまう…。