エリートな貴方との軌跡
セキュリティの厳しい部内へ導いてくれた岩田くんを、笑顔で追いやったあとで。
私にも悩殺スマイルを見せてくれるけれど、迫力があるのは彼女の放つオーラゆえ…?
「ねぇ、何見てたの?
真帆ちゃんが携帯眺めるトキって大抵…」
普通を何よりも嫌いながら、その辺の男性と比較出来ないほど頭がキレる才覚者で。
「ち、違いますよ?」
最大にして最強である観察眼を持つルックキラーに、苦笑をして誤魔化そうとすれば。
「まっ、百聞は一見にしかずね」
「ああっ…!」
私の答えを置き去りにして、アッサリかつ強引にお目当ての品を手中に収めてしまう。
「えー…何、ただの風景?」
「もぉ、何だと思ったんですか…」
しかしながら、彼女のおめがねには適わなかったようでガッカリした声が響き渡り。
ルックキラーが返して来たスカイブルーの携帯を、待ち受け画面へと戻してしまう私。
「あーあ、残念だわ!
ラブいメールならアイツの事、散々イジり倒せたのになー」
「…そこまでラブいの…来ませんもん」
「なにアイツ、メールまで堅物くんな訳?」
たとえ役員であろうが誰であろうが、怖いものナシらしい絵美さんはやっぱり無敵で。
その残念すぎる声色と表情は、何故かスマイルキラーを思い起こさせるから不思議だ。
「それは追々…っていうより、絵美さんこそ朝からどうしたんです?」
「おっと忘れてた…!真帆ちゃんにお届け物よ」
答えかねる質問にスルーすると、珍しい来訪者の目的をようやく尋ねられるとは…。