エリートな貴方との軌跡
一見してグリーンの瞳が印象的なクール美女に感じたけれど、ジェンは知るほど面白い。
知性あってのユーモアさはすごく魅かれる。それでいてキュートな面が垣間見れるのだ。
するとそこで電話を終えた修平が戻って来て、3人で笑いながらエントラスへと向かう。
「2人で随分と盛り上がってたな」
「当たり前よ。私たちBFFだもの、ねーマホ」
「ねー」
顔を見合って同調する私たちに、彼もまた微笑んだ。それがまた笑顔を運んで来るよう。
初対面でもこれほど早く打ち解けられたのは、互いに大切な人との繋がりがあったから。
大神チーフが惹かれた(彼女談)というのも納得、などと思いながら彼女を見ていると。
「真帆ちゃん、ジェンに熱い視線送ってどうかした?」
「…えっ?」
くつくつと笑いながら尋ねて来たのは、到着した日と同じベントレーに乗る大神チーフ。
プリウスに乗車している時とは何となく顔つきが違う、と感じたのは気のせいだろうか?
腑抜けた声を出した私の身体を前方から、ギューっと遠慮のないハグをしたのはジェン。
「きゃー!ああー、もうどうしよう…!
ねえシュウ!私いま直ぐ、マホのBFFから恋人にチェンジしても良い?」
ふわりと漂うローズの香りは女性そのものながら、発言は肉食系の彼女に目を丸くした。
「だめ絶対、変わらない――真帆は俺の宝物なの」
ハグ続行中につき、背後に立つ修平の表情は窺い知れないけれど、私で遊んでいる筈だ。
「ねえリヒトぉ、ヘルプしてよー?」
「大神がジェンを手放す訳ないだろ」
くつくつと笑っている修平のお陰で私は、ドキドキ指数をいつも急上昇させられている。
「ちなみに真帆ちゃん。修ちゃんとのBLなら、俺ドッチ側の役だと思う?」
「…それは、もの凄く想像したくないんですが」
その思考を断ち切ってくれたチーフのお尋ねに答えると、今度は4人で笑ってしまった。