エリートな貴方との軌跡
前方の2人を見つめていれば何だか、修平とチーフの声色が仕事モードとは違っている。
絵美さんと松岡さん以外、仕事で関わる人に対していつも笑顔で一線を置いている修平。
だからこそ今の態度は、2人が共に気を許して信頼してし合っているのだと気づけた私。
「2人はね、ライバルでもBFFなの。…私は何か通じるモノがある、と思うの」
「…うん、私もそう思う」
するとジェンにコッソリ耳打ちされて、その言葉にグリーンの瞳と目を合わせて頷いた。
「きゃー私たちだって負けず劣らずのBFFよ!」
「もちろんっ!」
再びギュっと強く彼女とハグし合っていると、前方からは2つの笑い声が届いたけれど。
討論していた筈の2人の変化が可笑しくなり、ジェンと2人顔を見合わせると微笑んだ。
「はい到着ー」
大神チーフの低い声音が車内に響いたのはそれから数分も経たず、同時に車も停止した。
そこは広大なガレージを有する一見のお宅。近隣に豪邸の立ち並ぶ此処がレストラン…?
目の前に建つ立派な邸宅を眺めていると、満面の笑みで車外へ私を引っ張り出すジェン。
一方では助手席のドアを閉めた修平もまた、やはり訝しげな表情をチーフに向けている。
「なあ、誰の家?」
「それは入れば分かるでしょー」
「真帆、行こう」
さすがに辟易しているらしい修平は溜め息を吐いて、此方へ向き直ると私の手を取った。
「私のマホなのにー!」
「ジェンは前に居るだろ?BLは勘弁だ」
「ふふっ、」
「…笑うな」
「だって、…あはは!」
車中でチーフが放った言葉をよほど根に持っているのか、きっぱり言い切った彼に笑う。