エリートな貴方との軌跡
エリートな貴方との軌跡
カチャリと音を立てつつ、そのドアを開けた瞬間――パン、パン!と乾いた音が響いた。
「な、なにっ!?」
思わずドアノブから手を離して、修平の片腕をギュッと掴んでそれを回避しようとする。
「真帆、…やっと分かった」
「…え?」
「――やられた」
鳴り止まない軽快音を継ぐように響き渡る盛大な声音の中で、小さく呟いたのは修平だ。
前方を見ないようにと掴んでいた彼の腕を外し、おそるおそる見た先には答えがあった。
パンパン、と続いていた音と微かな火薬音が落ち着いた時、今度は拍手へ変わっている。
「Congratulations on your engagement!」」
(ご婚約おめでとう!)
「…なんで、」
一際大きく響いた声音と人々の姿で、驚きのあまり私は言葉が痞えたように出て来ない。
「ほらほらご両人、こんなトコで止まらない。通行障害なんだけどー」
「そうよー。シュウ、ほらエスコートして行かなきゃ」
「あ、ああ」
それはどうやら修平も同じだったのだろうか。私たちの背中を押したのは後方の2人で。
裏口とは到底言い難いその場から上がらせて頂くと、騒ぎ立てる人々の声に泣きそうだ。
迎えられて2人で入ったところで、修平は彼らに引き摺られて先にパーティールームへ。
同時に私も大好きな人のハグにあたたかく迎えられて、さらに涙腺が緩みかけてしまう。
「マホおめでとう!」
「リリィ、…どうして」
「やーだーマホ!リリィは良いから私とハグしてよー!」
初日にチーフの紹介から仲良くなったリリィと向き合えば、そこへ乱入して来たジェン。