エリートな貴方との軌跡
甘えが齎す、幾許の不安
貴方と出会えた奇跡を、2人の軌跡へと繋いで生きていきたい。
この気持ちが仕事と家事を頑張ろうと思う、明日への力になるの・・・
「真帆ちゃーん、時間だぞ」
「うぅ…ん…――」
遮光カーテンをシャッと引く音のあと、ユサユサと揺すられた身体。
そのまま背中にスッと回された手で、上体を容易く起こされてしまう。
「おはよ、…やっぱり辛い?」
「・・・う、ん…」
そのまま支えてくれる手に安心して、コクンと寝ぼけながら頷いた私。
「あー、…ゴメンな」
苦笑しつつシーツから引き出された身体が、昨夜の時の余韻を存分に残されていて。
特有の気だるさと大好きな優しい声がまた、眠りへと誘う甘い材料なるの・・・
「寝させてやりたいけど・・・
立場上、そろそろ出社しないとマズいしな…」
「・・・え?」
「出社時間まで、あと30分だから」
その言葉でパチリと覚醒した瞳が捉えたのは、既にスーツを纏った彼の姿で。
「うそっ、遅刻…!」
笑いながら壁掛け時計を指す仕草に、余韻も血の気もサーっと引いていった…。