エリートな貴方との軌跡
慌ててシーツを捲って完全に起き上がると、そのままバスルームに直行した私。
気を失った間に着せてくれたらしいバスローブを、バッと豪快に脱ぎ去って。
散りばめられた紅いシルシを気にする間もなく、シャワーを捻り出した・・・
「あー、もうバカバカ!」
頭から温水を浴びながら、大事な日に寝坊した自分を叱咤してしまう…。
“あと30分”というのは私たちの出社時間であって、通常の出勤時間とは異なる。
此処まで急がなくても時間があるし、本当の遅刻ではないけれど・・・
未だ半人前の私にも、日常業務の他にトラブル処理や突発的な会議の出席など。
管理職を任されれば必然と仕事は増すから、静かな朝の時間帯が重要なモノであって。
研究への時間を捻出する為には、朝のミーティングまでが片すチャンスになるのだ…。
一日を活動的に過ごすには、隙間に生じるムダ時間を失くす事…――
…なんて言いながら、これは彼から学んだ仕事のスタンスが基(モト)。
エリートと呼ばれる人たちは、ムダがなくて仕事で手一杯な様子も無い。
修平さんや松岡さんがイイ例で、忙しい素振りを見せないトコロは流石だと思う。
頑張らないとダメだね…、気は急きながら思案していた・・・