エリートな貴方との軌跡
取り入って頭が良い訳でもなければ、頭の回転も決して速くなど無いから…。
『俺は利潤追求主義だからさぁ、修ちゃんが必要なのね。
真帆ちゃん、よーく考えてみて?』
『…し、失礼します…!』
『うん、じゃーね』
アレ以上に何も聞きたくなくて、逃げるようにして電話を終了させたのに。
最後まで飄々と話すチーフに、私はすっかり真底まで侵食されていた…――
大神チーフの上げた狼煙(のろし)が解らないほど、コドモではなくて。
敢えて私にアクションを起こした彼が、何を言いたいのかも伝わったから。
大好きな修平の事を思うほど、余計に苦しくなっていくの・・・
「そんな事があったとはね…」
「・・・・・」
WEB会議を終えてから、松岡さんにミーティングへと連行されている私。
「大神さんって、チョーッと喰えない人だしなぁ」
手持ち無沙汰なのか、人差し指でテーブルをトントンと叩くスマイルキラー。
日本支社随一のクセ者と称される彼さえも、こんな風に思案させるのだ。
一端の社会人である私なんかが、太刀打ちできる訳も無いのよ・・・