エリートな貴方との軌跡
ずっと潜んでいた闇から逃れるように、受け止めてくれた修平に縋りつくと。
トンと、弾みがつくほどの勢いだった私を、そっと包み込んでくれる――…
「ひっ…く、うぅー…」
どうして…?と自問するくらい、止め処なく頬を伝い流れ落ちてゆく涙。
彼のスーツが汚れてしまうかもしれないのに、気遣えるような状況ではなくて。
眼前の温もりと感触を確かめるように、ギュッとしがみついて泣いていた…。
「っ、ひっ…、うっ…」
抑えなきゃと思う度に嗚咽が漏れ出し、シンと静まり返った会議室で木霊する。
「色々無理させたよな、ゴメン…」
するとあやすように髪を撫でながら、何処か苦しげな声色が頭上から届いた。
「ちがっ、や、めて…!」
少しの距離を置いて彼の胸から顔を出すと、フルフル頭を振って否定する。
「未だ話してくれないのは、俺が気遣わせて…」
「それ以上…言ったら、本気で怒るからっ…!」
ドンドン胸を叩いて制すと、ぼやけた視界のままに彼を睨んでしまった。
「ただっ…、怖い、の・・・」
「真帆・・・?」
こちらを窺うダークグレイの瞳には、どうしても弱い部分を隠せなくて。
堪え切れずに頼ってしまう自分がキライ…、だけれど離れたくないよ――