エリートな貴方との軌跡
もうすぐ結婚出来るのに…、巣食った不安は心の片隅から消えなかった…。
貴方に抱かれながらも、事あるごとに“もし――”と繋げてしまう自分がいて。
払拭したくて、現実にしたくなくて…、笑って仕事をして誤魔化していたの。
2年前と同じように修平を信じていれば、きっと大丈夫と思って――…
「…修平、ひとつ聞いて良い?」
名前を呼ばれてから暫く経つと、ようやく重苦しい口を開いた。
「ん、何――?」
“怖い”と発しながら随分と落ち着いた私に、何処か腑に落ちない様子だ。
それでも頬を濡らした涙の筋跡を優しく拭って、続きを促してくれる。
「私って…、このままで大丈夫なの、かな?」
だから私はまた、大好きすぎる彼の負担になりたくなくて口を噤んでしまう。
「真帆、どうしてソコへ話が行く?」
すると納得がいかないと言わんばかりに、冷静に私を見据えている修平。
「…大神チーフの案件を担当して、自分を不甲斐なく思ったの…。
もっと頑張らなきゃって思うのに…、チーフを怖いなんて失礼だよね?
だから・・・」
悟られないように心と彼にウソをついて、自嘲した笑いをムリヤリ浮かべると。
「弱音を吐くほど嫌なら、辞めても構わない――」
「・・・っ」
私を見下げるダークグレイの瞳が酷く冷たくて、思わず息を呑んでしまった・・・