エリートな貴方との軌跡
考えの読めないチーフを怖がって、大切な事を忘れていたと気づけたの。
何よりも“今”、傍にいてくれる貴方との幸せを大切にしなきゃね?
「あー…、もう最悪…!」
ポケットに忍び込ませていたミラーを開けば、映る姿に唖然としてしまう。
「何が?」
「しゅうへぇー・・・
この酷い顔!何で教えてくれないのー?」
ブラウンのマスカラとアイラインが流れたであろう、頬に残る涙の筋跡。
ようやくクリアになった瞳は真っ赤なうえ、既に腫れ始めていたのだ…。
随分と悲壮な表情だったのか、首を傾げた修平の方へと向き直って質す私。
「酷いと思わないからだろ」
するとダークグレイの瞳はジッと私を見据えながら、片頬にそっと触れてくる。
「“真帆バカ”には、どんな顔も可愛くしか見えないし」
「なっ…、なに、言って…!」
頬に置かれたままの手に熱が伝わりそうなほど、カァッと上気する自らの頬。
そのうえダークグレイの瞳で捉えてられたままでは、口篭もるのも仕方無い…。
「フッ…、真帆ちゃん真っ赤だぞ?」
「もっ、もう知らない――!」
「ハハッ、カーワイイ!」
満足気にニッコリ笑った修平に、こんなトキまで翻弄されて悔しくなった。