エリートな貴方との軌跡
何時でも余裕の修平の態度が悔しくて、背の高い彼をジーッと見上げて睨む私。
すると片頬に置かれたままの大きな手がごく自然に、スッと離れたと思えば。
その刹那、今度は修平自身が近づき、頬にチュッと音を立てたキスを落とされた…。
「…天然子悪魔」
「は・・・?」
あまりに一瞬のうえ、一連の流れがスムーズ過ぎてポカンと呆気に取られていれば。
「ソレは黒岩さんの責任でしょうよ」
「フッ、そうか――?」
「そうよ!このインテリ色情魔!
なに昼間から真帆ちゃんに盛ってんのよ…!」
「その発言、隣のヤツにそっくりお返ししますよ。
松岡の方がよっぽど“エロオヤジ”でしょうが」
「まぁそれは…って、コイツはどーでもいいのよ!」
「ちょ、ちょっ…!」
背後から降ってくる言葉の往来に驚いて、ようやく制して後ろを振り返った私。
「な、なんで…松岡さんと絵美さんが…!?」
「そりゃあもちろん、二人の…」
「真帆ちゃん、もう安心してね!」
「え、ちょ、絵美さん…?」
松岡さんの発言権をスルーし、こちらへ駆けて来てガバッと強引に抱きつかれた。
さっきのやり取りを見られた羞恥心より、疑問符が勝って呆然としてしまう…。