エリートな貴方との軌跡
ヒシヒシ感じるイタイ視線が突き刺さる中、諦めて背の高い3人を見上げた。
「あーあ、ヤッちゃったねぇ…」
此処でもニヤリとほくそ笑む松岡さんと、バツが悪そうな絵美さんを捉えれば。
肩に置かれた手が離れた瞬間、その背後から長く力強い腕がスッと伸びて来て。
驚きの声を上げる間もなく、私の身体は強引に引き寄せられてしまった…。
「もう言い逃れは出来ないな、真帆…?」
「え、と、その…」
静まり返った会議室内に、大好きな低音ボイスだけが響いているけれど。
2人の視線が注がれる中、この近距離での尋問は勘弁願いたいモノだよ…。
まったく気にする素振りの無い修平に、取り敢えずムリヤリ笑ってみれば。
「一段落ついたトコロだし、今日はもう帰ろうか?
“ゆっくり”話をしたいし、俺としては――」
「で、でもね…そんなに大した」
「話を聞く前から、重要度合いが判断出来ると思う?」
「え、と、うーん…」
意見を言う前を寸断させて、黒い笑みを浮かべる修平にもう苦笑するだけで。
「ちょっと、いい加減に私をスルーすんの止めてくれる?」
「違いますよ…、真帆しか見えてないだけです」
「おー良かったねぇ、真帆ちゃん。
“今日も”可愛がって貰えそうで」
「なっ、松岡さんのバカ…!」
頭の回転が速い彼らの言葉足らずの会話は、後悔先に立たずを助長させるのに――…