エリートな貴方との軌跡
飄々としている様は修平にも引けを取らず、大神チーフに通じるモノがある。
こうしてクールな修平に溜め息をつかせる相手は、いま挙げた2人だけだもの…。
「風の便りって…、盗み聞きしてただけだろ?」
「えー、勝手に耳に届いたのは“不可抗力”でしょう?
どこぞの役員さんが部下を襲っていたのを、たまたま目撃したからですし」
呆れた声色で糺す(ただす)修平に、此処でもサラリとはぐらかした松岡さん。
「まったく…、よく言うな」
「それよりもエロいオーラを発する妹こそ、どうかと…」
「ちょっ、松岡さん!
何で私がエロいんですか!?失礼ですよ…!」
修平の腕の力が緩まぬ状態に諦めて、背後から届いた声に怒り口調で返せば。
「そーよ、バカ哲…!
元はと言えばね、修平が“こうさせた”のが原因でしょ!?」
「え、絵美さーん…、フォローになってないです…」
「あれ、そうだった?」
松岡さんに対抗出来る絵美さんのフォローは、さらに私を沈ませただけで。
「まっ、似た者同士ってコトで収めますか――」
「フッ…、ソレはそうかもな…」
「もぉー…」
遥か頭上で交わされたエリート2人の締め括りに、何となく納得はいかないけれど。
「真帆ちゃん、今日はとにかく帰って良いから。
大神さんの事より、先ずコチラの人をどうにかして来てねー」
スマイルキラーが大神チーフと違う点は、何時でも私の味方であるという事…。