エリートな貴方との軌跡
だけれど最大の難点は、どんな時も飄々としてマイペースにその場を楽しむ事で。
大神チーフに面識は無いけれど…、そんな所は松岡さんが勝っている気がする…。
「ほらほら早く帰って…」
「修平、ヘンな事したらタダじゃおかないわよ?」
手をヒラヒラ振って帰宅を促す松岡さんとは、対極的な言葉と視線を向けた絵美さん。
元ヤンの経歴も頷けるルックキラーの鋭い眼光に、私はただただ苦笑していると。
「もちろん事情聴取ですから、ご心配なく――
まぁ…、真帆の出方によっては臨機応変に…」
「え・・・」
「ん、どうした?」
ようやく腕の力が弱まったと安堵したのも束の間、そのまま肩を引き寄せられた。
恐る恐る声を頼りに見上げれば、何処か黒い笑顔を浮かべる修平と眼が合って。
どのみち私は逃げる事が出来そうもなく、まさに囚われの身状態だ・・・
「ふんっ、それが目的のクセに――
その抜けしゃあしゃあとしてんの、ムカつく…!」
「ハイハイ、お姉さまは落ち着こうか。
猛獣は放っておいて、早く帰っていいですよ。
真帆ちゃん、“色々”と頑張ってねー」
どちらが年上か分からなくなるほど、上手く丸め込んでしまう絵美さんのパートナー。
「フッ…、それはどうも――」
「か、帰るから…、離してよー…」
私の願いに対して何かを含んだ様子で笑うと、ようやく会議室をあとにした…。