GAME
いつの間のにか日が暮れていた。

ゲームに熱中していて気付かなかった。

「大丈夫なの?」

 リョーマに聞く。

「何がだ?」

「暗いと下山、危なくない?」

「ああ、それなら大丈夫さ。」

リョーマはデパートで買ったレジ袋その二を開けてみせた。

「懐中電灯だ。
道は結構しっかりしてたし、これがあれば問題ないだろう。」

四人分が揃っていた。

確かにこの山は小さい山で、登った時も、そんなに危なそうな場所は見受けられなかった。

「そろそろかな。」

リョーマはそう呟き、腕時計を見た。

「いや、まだか。みんな、各自適当に遊んでおいてくれ。」

それからみんな持ってきたゲームをしたり、それぞれのゲームについての情報交換をしたりして、時を過ごした。

「よし、時間だ。」

 リョーマが突然言う。

「何の時間なの?」

リョーマに聞く。

「みんな、あっちを見てくれ。」

視界の開けている方向を指さした。

火が、上へと上がって行き、それが開いた。

花火だ。

「リョーマ、本当の目的ってこれだったの?」

ここからは見晴らしもよく、花火への視線をふさぐものは何もなかった。

「ああ。」

リョーマがにこっと笑って答えた。

それから何発も花火が上がった。

花火のバックでは街の明かりがきらきらしていた。

きれいだった。

「昨日、ここで花火大会があることをたまたま知ったんだ。」

ぼん、ぼん、という花火の音に紛れてリョーマが言った。リョーマは最高だ。

しばらくみんなで花火を眺めた。

レミは写メを取っていた。

今日は楽しかった。リョーマのおかげだ。

花火が終了すると、すこしみんなで余韻に浸ってから下山して、お開きになった。

本当に楽しい一日だった。

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