GAME
今から歩いて帰るのはみんな面倒くさがったので、電車で帰ることになった。  

切符売り場でリョーマが言った。

「俺は帰る前にまだやりたいことがあるから、みんなは先に行っといてくれ。
あと、光太郎、付いてきてもらってもいいか?」

こんな時間から何をするのだろう、と思いつつも、僕はリョーマを信頼しているので、頷いた。

和也とレミに別れを告げてから外に出る。

この駅は田舎の小さな無人駅で、線路沿いのフェンスの外側の方には、雑草が生い茂っている。

「とりあえず、なんか飲むか。」

 リョーマは近くにあった自動販売機で二本のジュースを買い、一本を僕に手渡した。

「奢ってくれるの?」

「ああ。」

「ありがと。」

ふたを外してごくごくと飲む。

炭酸のしゅわしゅわした感じの液体がのどを通る。

「久し振りに飲んだけど、これ、おいしいね。」

「ああ。」

三分の二ほど飲みほしたところで、リョーマの方を見てみると、リョーマは缶を反対にして、ジュースを雑草のところに捨てていた。

「何やってるの?」

「草にジュースをやっている。」

「あんまり、おいしくなかった?」

「いや、とてもおいしかったぞ。」

 それなら、リョーマの行動が不可解に思われた。

「飲み切れなくなったの?」

「いや、まだ飲み足りないくらいだ。」

ますます、不可解だ。

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