お前は俺を好きになる~気になる女の子~
真由の体から放たれる微かな柔らかな匂い。



近くで感じる女臭に酔いしれ、頭がちょっとクラクラする。



と言うか、目の下の色っぽいホクロは犯罪級の武器だろ…



「聖ちゃんには気ぃつけた方がいいよ!この人性格悪いか…いてっ!」



人が物思いにふけっているのに、ここぞとばかりにしゃしゃり出てきやがった留美。



俺は勢い任せに有無言わず、平手打ちの鉄拳制裁を頭にくらわせていた。



気が緩んだ瞬間、頭のてっぺんを叩かれたのがショックだったのか、留美はその場にしゃがみ込み、唇を尖らせブツブツ何か文句らしきものを呟いている。



「聖ちゃんが…ブツブツブツ…」



「あは、あはははっ!!ウケるぅ」



「…ははっ。あはははははっ!!」



廊下に響き渡る大声で、俺と真由は顔をつき合わせ、初めて心の底から笑いあった。



くったくのないクシャッとなった真由の笑顔。



愛らしく、やたら可愛く見えて俺の胸は瞬時に弾けとんだ。



……これが


俺と真由の出逢い。



こんな何気ない朝のハプニングから始まった俺達。



新鮮な新しい風が四方から感じられる校内で君に出逢い、俺は人を愛する意味を解いていく事になる。



恋の一ページが刻まれたこの日。



男になりきれていない俺は、一人の女に身ぐるみを剥がされるように、自分の中に宿る男を強く感じたんだ。
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