お前は俺を好きになる~気になる女の子~
「聖ちゃん!?どうしたの!具合でも悪い!?」



「へっ?」



声のする方に顔を上げたら、同じクラスのムードメーカー歩(あゆむ)が血相を変え、心配そうに話しかけてきた。



歩はどちらかと言うとマジメな部類に入る女の子。



ソフトボールで推薦入学し、スポーツマンらしく肩幅もあり、色黒な方だ。



人との付き合いもうまく、クラスの誰とでも気軽に話す爽やか系。



ザックリ切られたショートヘアは、なかなか様になってる。



「具合悪い時は無理しちゃダメだよ!保健室連れてこっか!?」



「ちょ、待って。あたしすっげぇ元気だから」



「えっ?元気?」



「うん。いたって元気」



そう言いながらも、既に俺の額には歩の右手が密着している。



真由の件で興奮していたとは言え、どうあがいても俺の体温は平熱も平熱だ。



それを確認した生真面目な歩。



瞼を上下させ「あれっ?ミスった?」って顔をしている。



「あはぁぁ~何でもないのね!?あたし勘違いしたみたいで恥ずかしいんだけど!」



「…」



「ん?聖ちゃん?」



「いや。心配して貰えるって自分は幸せな奴だなってちょっと思っただけ…」



「そんな、友達が具合悪そうにしてたら助けるのが当たり前じゃん」



「当たり前かぁ…あはっ。あたしそういうのよくわかんないんだよね」



人に対して“してあげたい”と思う気持ちなんて今まで持ち合わせた事がない俺。



歩の気持ちは嬉しいけど、自分の中にそんなもん持ち合わせてないからか、そういう善人ヅラが面倒くさくもあり、いまいち掴めなかったりもする。



基本、俺は人なんてどうでもいいって奴だからさ…
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