お前は俺を好きになる~気になる女の子~
それから午後の授業終了と同時に魅惑の妄想を終え、放課後を迎えた。



俺は瞬時に制服の胸ポケットにしまっていたエチケットブラシをとりだし、横に付いている小さな鏡を覗き込み髪を確認した。



少しでも真由の気を引きたいが為に毎日セットしている髪。



ハードワックスのおかげで激しい崩れはなく、跳ねさせた横髪は結構決まっている。



バッグに忍ばせといたあぶら取り紙で鼻の油脂を取り除き、顔のテカリもない。



ーーさぁ来やがれ。上等だ



真由と戦う訳ではないのに、今夜に勝負を賭けたこの意気込みははんぱない。



俺は今夜、真由をいただくつもりだ。



「聖ちぁぁあんん!!」



「うっっ!!」



意気込んでいたその時、突然背後から羽交い絞めをくらい、俺は女みてえな気持ち悪い声を教室中に響き渡らせた。



「勝った!!」



「なんだよてめぇは!クソ女!!」



声を聞いて一発でわかった。



こんなふざけた事するのはアイツしかいない。



馬鹿女、留美!



約15センチ差の身長をなめんなの勢いで留美の短い腕を振り払い、俺は逆羽交い絞めを決め込んでやった。



腕の中でもだえ、苦しんでいる留美の姿が捕らえられた宇宙人みたいでやけにうける。



「うい、ういっ」



「おら!ギブ言え!ごめんなさい言え!」



「かっ」



「あん!?何!?」



「勝った…」



「何ぃぃぃぃ!?」



「勝ったぁぁぁぁ!!!」



「どぅわぁぁぁぁ!!!」



留美は小さいくせ根性が座っているのは本物だったらしく、俺の腕からもの凄い勢いで抜け出した。



抜け出された時にかかった力は尋常じゃなく、下手に喧嘩したらコイツに負けるかもしれないと思うほどだった。
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