お前は俺を好きになる~気になる女の子~
真由の合図をかわきりに、俺は一芝居をうつ態勢をもくろんだ。



健康優良児の看板を背負って生きてきた俺。



休んだ試しがない丈夫な体の俺。



が、一人の女の為たった今この重い看板をおろす事にした。



「いてててっっ…」



「聖ちゃん!?」



痛くも痒くもないこの薄っぺらい腹は、急激な痛みがともなったらしい。



そう。留美の前だけでは…



「やべぇ、マジいてえし」



「ええぇ!!真由ぅぅ、聖ちゃん痛いって!どうしよう!?」



子供だましの罠にまんまと引っかかった留美は、焦った様子で真由に助けを求め、アタフタしている。



留美には可哀想かもしれない。



可哀想だけど、今日だけは譲れない。



今日だけはごめん。



留美がどうしても邪魔なんだ。



「あたし家近いし、聖を家に送り届けるから大丈夫。まかせて」



「んん~ん。聖ちゃ~ん…んんぅ~ん」



「状況が状況なんだから仕方ないじゃん。ちゃんと連れてくから。ねっ?」



「だって、留美も心配だもん…」



「留美!マジでさ!!」



「…んんん~っ。わかったぁ~留美一人で帰るの嫌だけど、今日はおとなしく帰るぅぅ…」



下にしゃがみ込み、もだえ苦しむフリをしているが、俯いている俺の顔は笑いが止まらない。



留美に対する罪悪感の反面、抜けきらない妄想がこうさせてしまうんだからしょうがない。



許せ、馬鹿女。
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