お前は俺を好きになる~気になる女の子~
「明日から聖の高校生活が始まるんだもんね。お母さん今日張りきって料理作っちゃうから!」


「いいよ別に。日勤・夜勤で仕事の疲れ溜まってんだから無理すんなって」


「なぁに言ってんのよ!自慢の娘の為なんだから、たとえ火の中水の中」


「はいはい。わかったわかった。とりあえず落ち着いて」


どっちが子供かと聞きたくなる親子の会話。


そんな親子の会話は、昇降口にたどり着くまで永遠と繰り広げられた。


その合間、振り返りこっちを見て笑っている上級生や、通りすがり「あの子綺麗」と小声で呟く新入生の視線。



交差するたくさんの視線に、俺はやたら恥ずかしさを感じた。


「聖ちゃあぁぁ~ん!」


だんだん近くなる聞き慣れたウザったい声。


急いで靴を履いて逃げようとしたが、逃げきれず、案の定留美に捕まってしまった。


突然背後から抱きついきた留美。


胸が…


俺の背中にほどよく当たってきやがった。


タックルされたと同時に、感じたマシュマロみたいな二つの胸の感触。


結構悪いもんじゃないな…


「離せ。マシュマロ女」


「なにそれぇ!!留美デブって事!?ひどくない!?」


感触が気持ち良かったなんて、口が裂けても言えるわけがない。


気持ちいいなんて間違っても言えやしない。


俺は、わざと留美をからかい、ウケを狙った。


咄嗟に「あの子もこんな風に気持ちいいんかな」なんて思ったりもしたが、今目の前にいるのは生意気“留美”


黙ってりゃいい女に見えるのに、マシンガントークがじつに残念な女だ。


一丁前に香水なんか着けやがって、嫌いじゃないけど嫌いになりそうな予感さえしちまう。


クソ女が…
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