お前は俺を好きになる~気になる女の子~
「痩せろハゲ」



「ハゲとか超ウケるんですけどぉぉお!!つか聖ちゃん相変わらず毒舌ぅう」



バシバシ肩を叩く留美の右手をスッとくぐり抜け、動きを阻止する。



本当、コイツの暴走モードにはいつも関心させられる。



留美くらい神経図太かったら怖いもんなんかなくて、ある意味幸せ者だろ。



そんな留美の存在がウザくなった俺は、背中に残る胸の感触を引きずりつつ、留美のギャーギャー声を振り払い、母の手を勢いよく引いた。



馴れない高いヒールを履いた母。



足はもつれ、転びかけたがうまく立て直した。



さすが俺の親。



運動神経は悪くない。



「じゃあな。バイバーイ」



「聖ちゃあぁぁ~ん!!待ってよぉお!」



「マ・シ・ュ・マ・ロ!!バイバイ!」



俺は目の下を人差し指で引っ張り、軽く舌を出して馬鹿にしたアッカンベーをかます。



「馬鹿ぁ~!明日もかまえぇええ!!」



悲しそうな顔で追いかけて来た留美。



そんな留美との距離をどんどん引き離し、母が困惑する中、俺は母の手を無理矢理引いてうまく逃げる事に成功した。
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